4/16日付「朝日新聞(朝刊)-大阪版)」に 「配慮いる子」拒否急増 という記事が載りました。(朝日新聞電子版asahi.comにも、しばらくの間掲載されています。→http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000804160003)
堺市内に住む母子家庭の子ども(1年生)が、のびのびルーム利用を「不承認」とされ、お母さんが仕事を続けられない状態となって困っている−という報道でした。
このブログでも3/15「こどもの生活に「保留」なんかないぞ」、3/19「こどもの生活に「保留」なんかないぞ(その2)」の2回にわたって報告しました。当のびのびルームでも養護学校在籍の1年生Y君が、「加配指導員が不足しているため」に「保留」扱いとされ、すでに3週間が経過しています。
新聞取材に慌てる市教委
「不承認」から一転「早く受入れたい」
この記事を読むと市教委(放課後子ども支援課)の慌てぶりが目に見えるようにわかります。
昨年12月に利用申込をして市教委が子どもの状況を保育所に調べに来たのが2月。そして3月14日には「不承認」通知が届きました。お母さんは、直ちに、「どうして入れないのか」と担当課に電話をしています。しかし、他の「不承認」「保留」のケースと同様に、市教委からは通り一遍の回答があっただけで、「不承認」決定は覆りませんでした。
ところが、困り果てたお母さんが新聞社にFAXを送り、朝日新聞の記者が取材を始めた途端、市教委の態度は豹変します。
「保留」より「のびのび利用は、一段階、難しい」と市教委が判断・決定したはずの当該児童について、「可能ならば出来るだけ早い段階で受け入れたい」と連絡を寄こし、4/10には小学校に調査に入り、14日からの「受け入れ」を決定したのです。
市教委「明確な決まりはない」!?
これは、一体どういうことなのか!
教育長名で「不承認決定」とか「保留決定」といった公文書を作成し、当該児童・保護者には一言のあいさつもなくその「通知文」を送りつけて終わり。保護者からの問い合わせや抗議があっても木で鼻を括ったような回答に終始してきたのは、市教委・放課後子ども支援課の面々ではなかったのでしょうか?
ちょっと新聞社の取材が入ると、このように慌てふためいて、教育長の決裁まで済ませた「決定」を一夜で覆す。記事には次のように書かれています。
市教委は承認の可否の基準について、「ルームの込み具合や、子どもの様子を見て、安全にその子を預かれるか総合的に判断している」といい、明確な決まりはないという。「配慮が必要な子」にも厳格な定義はないそうだ。(4/16付 同記事)
3/19付本ブログで報告したように「就労家庭なのに、不承認または保留とされた」「母子家庭なのに、不承認または保留とされた」「のびのびは定員割れなのに、不承認または保留とされた」こんなひどいケースが他にも40名以上あるのです。
放課後子ども支援課は、これらの他のこども達についても、直ちにそれぞれの小学校に急行してこども達の様子を見、3月に下した「不承認」「保留」決定を、すべて見直す作業に入ったのでしょうか?
市教委は「心を入れ替えた」のか?
それならば、市教委放課後子ども支援課の「態度豹変」は大歓迎です。しかし、
「そんなに早く出来るなら、なぜ3月中に来てくれなかったのか」。直子さんは今も釈然としない。一時的にせよ、「受け入れを断られた子」という事実が残ってしまった。それに「仮に発達障害があったとして、だから断るというのも納得できない」。(4/16付 同記事)
と、このお母さんが言うように、「承認の可否」について「明確な基準はない」と公言してはばからない市教委・放課後子ども支援課です。そう簡単に心を入れ替えるはずはありません。現に、Y君の「保留」決定はそのまま。市教委からの新たな連絡はありません。
こんな場当たりな対応では、こども達の大切な放課後生活を保障することは出来ません。
現場は指導員不足
この記事には一つ重大な視点が欠落しています。それは、「障害児」、「配慮のいる子」を受け入れる現場(のびのびルーム)の実態です。
例えば、当校区のY君の場合、現場は申込み時点から、保護者と連絡を取り合い、市教委に対しても受入れるように申し入れてきました。そして、当初「障害を理由に、1学期間様子を見て、再度判断する」とした市教委に対し、抗議しその「理由」を撤回させ、「加配指導員が確保された段階で利用を認める」というように決定を変えさせました(3/19「こどもの生活に「保留」なんかないぞ(その2)」参照)。
それでもY君のルーム利用が実現しないのは、加配指導員が不足しているからです。
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当ルームの本年度「指導員配置数」は1日8名(基本配置5名+加配指導員3名)。
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加配指導員枠は昨年度までの「2名」から「3名」へと1人増員されました。
しかし、実際には毎日勤務できる指導員は6名から7名。つまり毎日「欠員1」の状態が続いています。加配対象となる「障害児、配慮のいる児童」は5名。Y君の利用が始まると6名となります。そこで、市教委-事業団((財)堺市教育スポーツ振興事業団)は「加配指導員が4名」となった段階で「Y君の利用を認める」と言っています。
「労働条件」悪すぎる
事業団では、指導員のリクルート活動を一応行っています。市役所等、市内公共施設へのポスター掲示、「広報さかい」への募集記事掲載、それに時々の人材募集広告(チラシ)への掲載です。
しかし、応募する人は少なく、当ルームでもこの1年間「欠員3(必要指導員数に比して)」という状態が続いてきました。なぜ、人が集まらないのか?答えは簡単。指導員(ケアワーカー)の労働条件が悪すぎるからです。
- 時間給800円(11年間据え置き)、昇級なし。
- 交通費上限あり
- 労働保険あり
- 社会保険なし
- 一時金・退職金なし
- 一年契約(更新あり)
しかも「登録制」のため、毎月の賃金が定額で保障されていません。「1週間に3日程度」「1日6時間まで」といった勤務条件も提示されています。これはひとえに「指導員の社会保険加入を阻止するため」だけであって、学童保育業務の必然性からくる条件ではありません。
3月末で退職された統括指導員の話では、「鳳地域では、新しく出来たショッピングセンターの方が条件が良いので、のびのびルームを辞めてそっちへ流れている」という笑えない実態となっています。
人材募集も「事業団」まかせ
のびのびルームは堺市が実施している事業ですが、運営は外郭団体「(財)堺市教育スポーツ振興事業団」に委託し、指導員もその事業団が雇用しています。その理由も「市が直接、指導員を雇用したくないから」という訳です。従って、指導員募集業務も市教委は事実上ノータッチ。事業団の業務となっており、こちらも人手不足の事業団事務局では募集広告を出して応募者を待つだけ。リクルート活動に本腰を入れる体制など作れません。結局、今勤務している指導員が、まわりの知人などに声をかけて人を見つけてくるといった信じられないことになっているのです。
ここに、口では「放課後等において自主学習や集団による遊び、スポーツ活動等の指導を行い、児童の健全育成を図る」と言いながら、絶えず「のびのびルーム事業」廃止や民間委託(07年度から美原区は完全民間委託実施済み)への衝動を隠さない、堺市・堺市教委の本音が透けて見えます。
知事就任以来、見苦しくはしゃぎまわる橋下が振りまく「予算削減」「人員合理化」のムードに便乗するように、「堺市は07年度から12年度初めまでの5年間に常勤の正規職員の15・7%に当たる966人を削減する目標を盛り込んだ「要員管理計画」を発表」(4/17「朝日」)しました。http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000804170001
「子育て支援の充実」という宣伝とは裏腹に、公立保育所民営化、公立幼稚園廃止、市立商業・工業高校の廃止統合・・・次々と保育・教育分野での事業縮小や民営化を進める堺市・市教委当局。「これ以上のびのびルームの拡充はしない」と宣言して、「民間委託・放課後ルーム」を立ち上げ、学童保育事業縮小に踏み切った彼らに過大な期待はできませんが、諦めるわけにもいきません。
至急「全員入室」実現を!
市教委・事業団に対してあらためて要求します。
- 今年度、保留・不承認となった児童全員の、早期の利用を実現すること。
- その為に、必要な追加予算を確保し、不足している指導員を補充する為、市教委が責任を持って人材募集を行うこと。
08年度スタートに際して、市教委は「放課後ルーム」での受入を拒否した障害児を「のびのびルームで受け入れる」という救済措置をとりました。そうであるならば、そのこども達も含めて受入可能な人員の確保と施設整備の責任は、事業団ではなく第一義的に市教委当局にあるはずです。
「総合的に判断している」が「可否の基準はありません」などと、自らの無内容・無能ぶりを天下にさらす前に、最低現の仕事をしてもらいたい、と言っておきます。



